「猫がいるから雛人形は飾れない」と諦めていませんか?実は、選び方と工夫次第で愛猫との共存は可能です。人形屋ホンポ社長の成嶋が、猫ちゃんのいたずらや誤飲を防ぎ、抜け毛からも人形を守る「鉄壁の飾り方」と、おすすめのスタイルをプロの視点で解説します。
なぜ狙われる?猫の本能と危険なパーツ
まず敵(?)を知ることから始めましょう。猫ちゃんが雛人形に興味を持つのは、狩猟本能を刺激する要素が詰まっているからです。
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実は雛人形には、猫ちゃんにとって魅力的なおもちゃがいっぱい。
・**揺れる紐(あご紐や飾り紐)**
・**キラキラ光る金具や小道具**
・**ふわふわした髪の毛(正絹の感触)**
特に危険なのが、お殿様の持つ「笏(しゃく)」や、お姫様の「扇(おうぎ)」などの細かい小道具です。これらを前足でチョイチョイと落とし、誤飲してしまう事故が一番怖いですね。
また、お人形の髪の毛や衣装に爪が引っかかると、修復が非常に難しくなります。まずは「むき出しで飾る」ことのリスクを正しく理解し、対策を立てていきましょう。
鉄壁の守り!「ケース飾り」と「固定術」
猫対策の最適解は、やはり物理的に遮断する「ケース飾り」です。しかし、ただケースに入っていれば安心というわけではありません。
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**1. アクリルケースを選ぶ**
ガラスケースは重厚感がありますが、万が一猫ちゃんが上に乗ったり、突き飛ばしたりして割れた時に大変危険です。軽量で割れにくいアクリルケースが、猫飼いのご家庭には断然おすすめです。
**2. ミュージアムジェルで固定する**
「ケースごと落とす」という力技を防ぐため、ケースの底面を耐震ジェル(ミュージアムジェルなどがおすすめ)で棚に固定してください。これで猫パンチを受けても動きません。
**3. 完全密閉タイプか確認**
背面に隙間があるタイプだと、そこから毛が入り込みます。カブセ式や完全接着タイプなど、密閉性の高いものを選びましょう。
被害を最小限に。「木目込み」という選択
もしケースなしで飾りたい、あるいは万が一ケースを開けられた時のことを考えるなら、人形の種類自体を見直すのも一つの手です。
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一般的な「衣裳着(いしょうぎ)人形」は、着物を何層にも重ねて着せ付けているため、猫の爪が引っかかりやすく、一度ほつれると元に戻りません。
対して**「木目込み(きめこみ)人形」**は、ボディの溝に布を押し込んで作られているため、布の「ひらひら」が少なく、比較的猫の爪の被害を受けにくい構造です。
弊社の「ひなまり」シリーズでも人気の木目込み人形は、コロンとしたフォルムで安定感があり、転倒しにくいのもメリット。猫ちゃんがいるご家庭には、機能面でも木目込みをおすすめすることが多いですね。
飾る場所の工夫:猫の動線を外す
どんなに対策しても、猫ちゃんのジャンプ力は侮れません。そこで重要になるのが「ゾーニング」です。
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**・キャットタワーの近くはNG**
高低差を利用して飛び乗ってくる可能性がある場所は避けましょう。
**・足場のない高い場所へ**
サイドボードの上などは猫の足場になりがちです。壁掛けタイプの飾り棚や、猫が飛び乗れるスペース(余白)がないギリギリのサイズの棚に飾るのがコツです。
**・いっそ「見せる収納」の中に**
ガラス扉付きのキュリオケースや本棚の中に、雛人形のスペースを作ってしまうのも賢い方法です。これならホコリも猫の毛もシャットアウトでき、インテリアとしても美しくまとまります。
猫と一緒に祝う初節句のアイデア
ここまで「守り」の話をしてきましたが、猫ちゃんも大切な家族の一員。排除するのではなく、一緒にお祝いしたいですよね。
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最近では、**猫ちゃん用の「お被布(ひふ)」や「袴(はかま)」**も市販されています。お子様と猫ちゃんがお揃いの和装をして、安全対策をした雛人形の前で写真を撮れば、最高に映える一枚になります。
また、雛人形の横に、猫ちゃん専用の小さなお供え(猫用おやつなど)を置いてあげるのも素敵です。「これは〇〇ちゃん(赤ちゃん)の大事なものだよ」と教えつつ、「あなたも大事な家族だよ」と伝えてあげる。
そんな心の豊かさ(エンリッチメント)を感じられるひな祭りを、ぜひ楽しんでください。


