こんにちは、人形屋ホンポ、節句人形アドバイザーの成嶋祐介です。大切なお雛様が壊れてしまった時のショック、お察しします。ですが、慌てないでください。職人の手仕事で作られたお人形は、修理や修復ができることが非常に多いのです。今回は、自己判断で失敗しないための「修理の判断基準」と「正しい対処法」について解説します。
まずは購入店への相談が第一歩
お人形が破損してしまった場合、最初にすべきことは「購入店」または「メーカー」への問い合わせです。…….特に私たち人形屋ホンポのような専門店でお求めいただいたお人形であれば、製造元の職人とのネットワークがあるため、適切な修理ルートをご案内できます。…….保証書や購入時の控えがあればスムーズですが、ない場合もお人形の特徴や破損箇所の写真を送ることで相談に乗れるケースが多々あります。決してご自身で判断せず、まずはプロの窓口を頼ってください。
修理できる症状と部品交換
「修理」と一口に言っても、その内容は様々です。…….例えば、扇(おうぎ)や笏(しゃく)、冠(かんむり)といった「小道具」の破損や紛失であれば、部品を取り寄せて交換するだけで解決することがほとんどです。…….一方で、お顔の汚れやヒビ、着物の破れなどは、専門の職人による高度な修復作業が必要になります。特に「お顔」は胡粉(ごふん)という伝統的な素材でできていることが多く、特殊な技術が必要です。状態によっては「完全な修復」よりも、時代を経た味わいを残す「保存修復」を提案されることもあります。また、手作り品につき修理が不可能という場合もございます。
絶対に避けてほしい「自己流修理」
アドバイザーとして最も強くお伝えしたいのが、「ご自身での接着や洗浄は避けてください」という点です。…….市販の瞬間接着剤やセロハンテープは、和紙や絹、胡粉といったデリケートな素材を変質させ、後からプロが修理しようとしても手が出せなくなる原因になります。…….また、お顔の汚れを水拭きするのも厳禁です。水分はシミの原因になります。もし壊れてしまっても、そのままの状態で保管し、専門家に委ねることが、結果としてお人形を救うことにつながります。
修理のタイミングと期間の目安
修理を依頼する場合、時期にも注意が必要です。…….1月から3月3日までは、人形店や職人にとって一年で最も忙しい繁忙期です。この時期に修理を持ち込んでも、ひな祭りまでに戻ってこない可能性が高いです。…….おすすめは、ひな祭りが終わった後の「オフシーズン」、特に初夏から秋にかけてです。この時期なら職人もじっくりとお人形に向き合うことができます。費用や期間は破損状況により大きく異なるため、まずは「見積もり」を取ることから始めましょう。
【補足】破損を防ぐための収納術
修理が必要になる原因の多くは、実は「収納時」に起きています。…….箱に詰め込みすぎて部品が圧迫されたり、防虫剤を入れすぎて化学反応でシミができたりすることがあります。…….修理から戻ってきたお人形、あるいは無事だったお人形を長く守るためには、「詰め込みすぎない」「防虫剤は人形用を適量のみ」「湿気の少ない場所に保管する」という基本が大切です。正しいしまい方こそが、最高のアフターケアと言えるでしょう。


