雛人形は、お嬢様が成人されるまで、そしてその先も見守る「一生のお守り」です。今の可愛さだけでなく、20年後に「これを贈ってくれてありがとう」と言われるためには、普遍的な美しさと品質が必要です。将来、大人の女性になったお嬢様の心にも響く、時を超えて愛される雛人形の条件をプロの視点でお話しします。
流行よりも「普遍的な美」を
お雛様選びで最も大切なのは、20年後も「美しい」と思えるかどうかです。最近はパステルカラーやレース素材など、トレンドを取り入れたお雛様も大変人気がありますし、私どもでも扱っております。しかし、もし「一生もの」としての重みを重視されるなら、伝統的な「有職故実(ゆうそくこじつ)」に基づいた色合わせや、正絹(シルク)などの天然素材を用いた衣裳をおすすめします。
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時を経ても色褪せない伝統文様や、深みのある色合いは、お嬢様の感性が大人になるにつれて、より一層その価値を感じていただけるはずです。「古い」のではなく「クラシック(古典)」であること。これが、長く愛される第一の条件です。
成長と共に「対話」できるお顔
幼い頃は「かわいい!」と感じるお顔も、大人になると違った印象を受けることがあります。20年後、辛いことや悲しいことがあった時、ふと雛人形を見て「見守られている」と感じられるような、慈愛に満ちた表情のお顔を選んでいただきたいのです。
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最近は目がパッチリとした現代的なお顔も人気ですが、少し伏し目がちで、静かな微笑みを湛えた伝統的な「京顔(きょうが)」や、それに近い上品なお顔立ちは、見る人の心に寄り添う深さがあります。お嬢様が成長し、様々な経験を重ねた時こそ、その表情の奥深さに気づいていただけるはずです。
将来のライフスタイルに合うサイズ
20年後、お嬢様が独立されたり、ご結婚されたりした時、そのお雛様はどうなるでしょうか? もしかすると、お嬢様の新居にお引越しするかもしれませんし、ご実家で飾り続けることになるかもしれません。
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どちらのケースでも喜ばれるのが、「上質でありながらコンパクト」な雛人形です。場所を取りすぎず、収納もスマートなものであれば、将来の住環境が変わっても負担になりません。私たちが手がける「ひなまり」シリーズのように、現代のインテリアに馴染むデザインとサイズ感でありながら、本格的な作り込みがされているものは、将来「持って行きたい」と言ってもらえる可能性が高いのです。
「選んだ物語」を伝えること
モノとしての条件以上に大切なのが、「なぜこのお雛様を選んだのか」というストーリーです。「あなたに幸せになってほしくて、この着物の柄の意味を選んだのよ」「職人さんが一つ一つ手作りした温かみに惹かれたの」といった、ご両親の想いです。
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20年後、お雛様を飾る時にお母様からそのエピソードを聞かされた時、お雛様は単なる人形から「愛された証」へと変わります。購入時のパンフレットや、選んでいる時の写真を一緒に保管しておくのもおすすめです。それが将来、プライスレスな贈り物となります。
20年後のメンテナンスと供養
最後に、少し現実的なお話を。良いお人形は20年、30年と持ちますが、経年による変化は避けられません。私たちのような専門店では、お人形の修理やメンテナンスも承っております。「壊れたら終わり」ではなく、手を入れながら受け継いでいく文化もまた、心の豊かさにつながります。
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また、もし役目を終える時が来ても、人形感謝祭(供養)という美しい締めくくり方があります。終わりのことまで知っておくことで、より大切に日々を過ごせるはずです。何かあればいつでも私たち専門家にご相談くださいね。


