「人形の久月」と「顔が命の吉徳」。江戸最古の老舗としての誇りと、それぞれの特徴を節句人形アドバイザー成嶋祐介が公平な視点で解説します。一生に一度の出会いのために、知っておきたい決定的な違いとは。
江戸の歴史を背負う二大老舗
雛人形選びで必ず名前が挙がる「久月」と「吉徳」。どちらも江戸時代から続く老舗ですが、その歴史には少し違いがあります。
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実は、創業年で言えば吉徳の方が古く、正徳元年(1711年)創業。江戸最古の人形店として300年以上の歴史を誇ります。一方、久月は天保6年(1835年)創業。
両社とも浅草橋界隈(江戸通り)に本店を構え、日本の節句文化を牽引してきました。歴史の長さだけでなく、それぞれの時代で培われた「美意識」の違いを知ることが、選び方の第一歩です。
「顔が命」吉徳のこだわり
吉徳といえば、やはり「顔が命」。このキャッチフレーズには、創業以来の強い信念が込められています。
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吉徳の雛人形は、一般的に「優雅で気品があり、少し大人びた美しさ」が特徴と言われます。涼やかな目元、穏やかな口元。見る人の心を落ち着かせるような、慈愛に満ちた表情を追求しています。
また、衣裳の仕立てにおいても「本仕立」など、着物の着せ付け(着付)の美しさに徹底的にこだわります。流れるようなラインと、崩れないシルエットは、職人の技術の結晶です。
知名度と展開力の久月
一方、「人形の久月」は、その圧倒的な知名度と幅広いラインナップが魅力です。
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伝統的なスタイルはもちろん、時代に合わせたコラボレーションモデルや、コンパクトでモダンなデザインまで、多種多様なニーズに応える柔軟性を持っています。「誰もが知っているブランド」という安心感は、贈り物として選ばれる際の大きなポイントにもなります。
華やかで明るい作風が多く、広い層に愛される人形作りを得意としています。
プロが教える比較の視点
では、最終的にどう選べばよいのでしょうか?私、成嶋からのアドバイスは「作家(職人)」に注目することです。
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吉徳、久月ともに、自社で製作するだけでなく、京都や東京の一流作家に製作を依頼し、監修を行っています。
例えば吉徳には、大橋弌峰や清水久遊といった、通好みの名匠との深いパートナーシップがあります。「どのお店か」も大切ですが、「どの職人が手がけたか」でお顔や衣裳の雰囲気がガラリと変わります。ブランド名だけでなく、ぜひその人形が持つ個性をじっくりと見比べてください。
正規特約店という選択肢
最後に、購入場所についてのアドバイスです。
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百貨店や直営店だけでなく、私たちのような「正規特約店」を利用するのも一つの賢い方法です。吉徳の品質基準をクリアした選りすぐりの逸品を扱いながら、専門店ならではのきめ細やかなサポートや、オリジナルの特典をご用意できることがあります。
「顔が命の吉徳」の精神を受け継ぎつつ、お客様のライフスタイルに合わせたご提案をさせていただきます。迷われた際は、ぜひお気軽にご相談ください。


