人形屋ホンポの成嶋です。「雛人形といえば赤やピンク」という常識は、令和の今、大きく変わりました。インテリアに馴染み、ママ自身も飾りたくなる「くすみカラー」や「ベージュ基調」のお雛様。地味にならず、上質に見せるプロの選び方をご提案します。
なぜ「ベージュ」?リビングに溶け込む色彩学
昔ながらの朱赤やピンクの雛人形は、確かに華やかですが、現代のモダンなリビングや白壁、ナチュラルな木目家具の中では浮いてしまうことがあります。
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近年、私たちが力を入れているのが「インテリアとしての調和」です。ベージュ、グレージュ、モカといった「くすみカラー(ニュアンスカラー)」は、主張しすぎず、空間に静かな品格をもたらします。
これは単なる流行ではなく、「ハレの日」を日常の延長線上で祝いたいという、現代のご家族のライフスタイルの表れだと私は考えています。あえて色味を抑えることで、お部屋全体のコーディネートが格上げされるのです。
地味に見せない。「質感」と「伝統文様」の力
「ピンクを使わないと地味になりませんか?」というご質問をよく頂きますが、ご安心ください。プロの視点では、色数を減らす時こそ「素材の質感」にこだわります。
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例えば、光沢のある正絹(シルク)や、立体感のある刺繍、金彩を施した生地を選ぶことで、ベージュ単色でも奥行きのある豪華さが生まれます。
また、有職文様(ゆうそくもんよう)などの伝統的な柄は、シックな色合いの方がその繊細なデザインが際立ちます。派手な色で誤魔化さない、これぞ「引き算の美学」。大人の女性が見ても美しいと感じる、本物志向の選び方です。
「ひなまり」に見る、大人の可愛らしさ
私が監修する自社ブランド「ひなまり」や木目込み人形シリーズでは、この「大人シック」なトレンドを積極的に取り入れています。
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木目込み人形特有の「コロンとした丸いフォルム」なら、渋めの色を選んでも決して堅苦しくなりません。むしろ、愛らしい形と大人っぽい色のギャップが、洗練された「大人の可愛らしさ」を演出します。
お顔も、白肌に映える優しいメイクで仕上げており、くすみカラーの衣装が肌の透明感を引き立てます。「ピンクは苦手だけど、可愛さは欲しい」というママにこそ、ぜひ実物を見ていただきたい自信作です。
脇飾りも統一。ドライフラワーや真鍮との相性
ベージュ基調のお雛様を選んだら、周りの小物(脇飾り)もトーンを合わせましょう。ここがセンスの見せ所です。
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従来の紅白梅の代わりに、パンパスグラスやドライフラワーを添えると、一気にカフェのような空間になります。また、雪洞(ぼんぼり)の代わりに真鍮(ブラス)素材の燭台を置いたり、木製の名前札を合わせたりするのもおすすめです。
私たち人形屋ホンポでは、こうしたトータルコーディネートがしやすいモダンな脇飾りも多数取り揃えています。お人形単体ではなく「空間全体」をプロデュースする感覚で楽しんでください。
参考)撮影商品はhttps://www.ningyoya-honpo.jp/c/gr2/h083-aaa-mr3-1。
【補足】淡い色だからこそ。お手入れの注意点
最後に、淡色・ベージュ系のお雛様を長く美しく保つためのポイントを一つだけ。
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濃い色に比べて、淡い色は経年による「日焼け(退色)」や「手垢」が目立ちにくいメリットがある一方で、シミがつくと目立ちやすい側面もあります。
飾る際は、直射日光が当たらない場所を選ぶのはもちろんですが、設置や片付けの際には必ず「白手袋」を着用してください。手の脂分は、数年後に黄色いシミとして浮き出てくることがあります。美しいくすみカラーを次世代まで残すために、この一手間だけは惜しまないでくださいね。


