「もしもの時、ガラスが割れたら…」その不安、節句人形アドバイザーが解消します。地震に強いアクリル素材のメリットから、プロが実践する転倒防止テクニックまで、お子様の安全を第一に考えたケース選びをご提案します。
なぜ「アクリルケース」が防災に強いのか
地震への不安がある場合、私が真っ先に推奨するのは「アクリルケース」です。
最大の理由は**「衝撃への強さ」と「破片の安全性」**にあります。
ガラスケースは強い衝撃で割れると鋭利な破片が広範囲に飛散するリスクがありますが、アクリルは非常に割れにくく、万が一破損しても破片が飛び散りにくい性質を持っています。
また、**「軽さ」**も防災上の大きなメリットです。
重量があるガラスケースに比べ、アクリルは軽量なため、揺れによる慣性の影響を受けにくく、万が一落下した場合でも床へのダメージや怪我のリスクを軽減できます。
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小さなお子様が近くで遊ぶリビングなどに飾る場合は、この「割れない安心感」が何よりのエンリッチメント(心の豊かさ)につながります。
倒れにくい「形状」と「構造」の秘密
素材だけでなく、ケースの「形状」も耐震性に影響します。
地震対策としておすすめなのは、以下の特徴を持つケースです:
1. **六角形や八角形のケース**
四角形よりも構造的に安定しており、多方向からの揺れに対して歪みにくい特長があります。
2. **パノラマタイプ(前面に柱がない)**
前面の角が曲面ガラスや曲げアクリルになっているタイプは、接合部が少なく強度が保たれやすいです。
3. **オルゴール等の土台がしっかりしているもの**
重心が低く設計されているものは、揺れた際に転倒しにくくなります。
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選ぶ際は、底面の安定感を手で確かめ、重心が高すぎないデザインを選ぶのがポイントです。
プロ直伝!今日からできる転倒防止術
どんなに安全なケースを選んでも、設置方法が不安定では意味がありません。
私たちプロが展示の際にも気をつけている、家庭でできる対策をご紹介します。
* **ミュージアムジェルの活用**
美術館で展示品の固定に使われる透明な粘着ジェルです。ケースの四隅の底に貼るだけで、震度5強クラスの揺れでも転倒を防ぐ効果が期待できます。剥がしても跡が残らないのが魅力です。
* **滑り止めマット**
ケースの下に敷くだけで、揺れによる「滑り出し」を防ぎます。棚の端から落下するリスクを大幅に減らせます。
* **設置場所の高さ**
腰より高い位置(サイドボードの上など)に飾る場合は特に固定が必須です。可能であれば、畳の上やローボードなど、低い位置の方が落下リスクは低くなります。
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「置くだけ」ではなく「固定する」意識を持つだけで、安全性は格段に向上します。
それでもガラスの美しさを選ぶなら
「アクリルの安全性はわかるけれど、やはりガラス特有の重厚感や透明感ある輝きが好き」という方もいらっしゃいます。
その場合は、リスクを理解した上で以下の対策を講じましょう。
* **飛散防止フィルム**
万が一割れた際に破片が飛び散らないよう、透明な飛散防止フィルムを貼る方法があります。(ただし、視認性に多少影響する場合があるため、プロに相談するか、背面などに限定するのも手です)
* **動線を避ける**
避難経路となる廊下やドアの近くには置かないようにしましょう。
* **ケース入りでも「出し飾り」のように**
ガラスケースの場合、前面のガラス戸が開くタイプや、上から被せるタイプがあります。ガラスが割れるのが怖い場合は、お祝いの期間中だけガラスを外して(またはケースから出して)飾るという方法も、実は「あり」なのです。
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ガラスの美しさを楽しみつつ、配置と運用で安全を確保しましょう。
【補足】片付けた後も守る「保管の防災」
雛人形は飾っている期間よりも、収納されている期間の方が圧倒的に長いです。
保管時の地震対策も忘れてはいけません。
**1. 収納場所は「下段」へ**
押入れの天袋やクローゼットの上段は、地震時に箱ごと落下する危険があります。できるだけ下段や床に近い場所に収納しましょう。
**2. 箱の中の詰め物(パッキン)**
ケースの中で人形やお道具が動かないよう、購入時に入っていた詰め物を捨てずに使いましょう。もし捨ててしまった場合は、薄葉紙や柔らかい布を隙間に詰め、揺れても中身がガタつかないようにすることが破損防止の鉄則です。
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来年も笑顔でお人形に会えるよう、しまい方まで気を配ることが、長く大切にする秘訣です。


