端午の節句といえば、兜飾りが定番ですが、近年注目されているのが「金太郎」をモチーフにした五月人形です。赤い腹掛けに元気いっぱいの童子姿は、男の子の健やかな成長を願うご家庭にぴったり。
この記事では、節句人形アドバイザーの資格を持つ「人形屋ホンポ」代表・成嶋祐介が、金太郎の物語の背景や魅力、金太郎人形を家族で楽しむ方法までをやさしく解説します。
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金太郎とは?物語と実在のモデル
金太郎は、日本の昔話に登場する伝説的な力持ちの子どもです。
舞台は足柄山。母親とふたりで山奥に暮らす金太郎は、まさかりを手に動物たちと遊び、時には熊と相撲を取るほどの怪力を発揮します。力もちで心の優しい金太郎は動物達の人気者でした。
ある日、通りがかった源頼光(みなもとのよりみつ)という武士にその才能を見出され、のちに都へ連れていかれます。そして成長した金太郎は「坂田金時(さかたのきんとき)」と名を改め、頼光四天王の一人として大江山の鬼退治などで大活躍したという伝承があります。
そんな金太郎の姿は、元気いっぱいの童子として五月人形に取り入れられています。赤い腹掛けに「金」の文字、にっこりとした顔にまげ頭、熊にまたがる姿は、昔話のワンシーンを切り取ったような親しみやすさに満ちています。
子どもたちにとっても、強くて優しい金太郎はまさに憧れの存在。毎年の節句に飾ることで、「健やかに育ちますように」という家族の願いをそっと見守ってくれます。
なぜ金太郎は五月人形になったの?
端午の節句といえば、武将の兜や鎧を飾るイメージがありますが、金太郎もまた昔から五月人形として親しまれてきました。それは、金太郎が「子どもの理想像」として、多くの願いを込められる存在だからです。
山の中でたくましく育ち、動物たちと仲良く遊ぶ金太郎は、「健康で元気に育ってほしい」「自然とともに、やさしい心も持ってほしい」と願う親心と深く重なります。また、彼が後に坂田金時として武士となり、鬼退治などで活躍する伝説も、“立身出世”や“勇気ある子ども”の象徴としてのイメージを強めました。
そのため、昔話の中でも金太郎はとくに五月人形に選ばれることが多く、現在ではかわいらしくも意味のある節句飾りとして、さまざまなご家庭に受け入れられています。
金太郎人形の魅力と特徴
赤い腹掛けと童子姿が愛らしい
金太郎といえば、赤い腹掛けに「金」の文字が入った姿が印象的。まげ頭でにっこり笑った表情は、小さなお子さまにも親しみやすく、写真にもよく映えます。
熊や動物との組み合わせが豊富
金太郎の物語にちなみ、熊にまたがる姿や動物たちと仲良く並ぶデザインも多く見られます。こうした構図は、強さとやさしさの両方を表現してくれるのが魅力です。
童話らしい安心感と親しみ
鎧兜や武将タイプの五月人形が少し「かたい」と感じる方には、童話キャラクターである金太郎人形がぴったり。柔らかい印象とやさしい雰囲気が、お部屋を温かく彩ってくれます。
どんな金太郎人形がある?
布製・ぬいぐるみタイプ
ちりめん生地やフワフワ素材を使ったぬいぐるみタイプは、インテリア感覚で飾れるのが魅力。軽くて扱いやすく、子ども部屋やリビングにもなじみます。
木彫・陶器・ビスク製
本格的な人形師による手作りの作品も豊富です。素材によって風合いや表情が異なり、伝統工芸品としての価値も感じられるため、贈り物にも人気です。
鯉のぼりや熊とのセット
セット商品には、鯉のぼりや熊と一緒に飾られるものも多く、節句の華やかさをより一層高めてくれます。
飾り方とお手入れのポイント
金太郎人形は、直射日光や湿気を避けて飾るのが基本です。
布製・木製問わず、子どもやペットの手が届かない安全な場所に置くと安心ですね。
飾る時期は4月上旬〜中旬がおすすめ。5月5日の端午の節句まで、ゆったりと楽しめます。お片付けの際はやわらかい布でホコリを払い、湿気を飛ばしてから乾燥剤と一緒に収納すると来年もきれいに飾れますよ。
子どもと一緒に飾って、金太郎に込めた思いを伝える
金太郎人形を飾る時間は、ただの“飾り付け”ではありません。親から子への想いや願いを、少しずつ伝えていく大切なひとときでもあります。
最初は「この子が金太郎って言うんだよ。力持ちで、動物とも仲良しだったんだって」と、子どもに話しかけるところから。成長とともに、金太郎の物語や坂田金時の伝説を少しずつ読み聞かせてあげると、飾っていた人形が“意味を持つ存在”へと変わっていきます。
「強く、やさしく育ってほしいっていう願いをこめて、毎年飾っているんだよ」——そんな言葉を添えるだけで、金太郎人形は家族の歴史と絆をつなぐ象徴になります。
まとめ|金太郎の優しさと力強さをお部屋に
金太郎の五月人形は、「子どもにとって身近な存在であってほしい」「元気で優しい子に育ってほしい」そんな願いを込めた人形として、毎年飾るのが楽しみになるアイテムです。
かわいくて頼もしい金太郎が、子どもの未来をそっと見守ってくれることでしょう。




