春の青空に元気よく泳ぐ鯉のぼり。お子さまの初節句を迎えるご家庭では、「鯉のぼりにはどんな意味があるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、節句人形アドバイザーの資格を持つ「人形屋ホンポ」代表・成嶋祐介が、鯉のぼりに込められた願いや由来、歴史背景、そして現代における飾り方までをやさしく解説します。
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鯉のぼりの意味とは?
鯉のぼりには、「子どもがどんな困難にも負けずに成長し、立派に人生を切り開いてほしい」という願いが込められています。
立身出世を願う意味
中国の故事「登竜門」では、滝を登り切った鯉だけが龍に変身できると伝えられています。流れの激しい滝を力強く登る鯉の姿は、努力と成功の象徴。これにあやかり、男の子にはたくましく成長し、社会で成功してほしいという想いが込められるようになりました。
無病息災を願う意味
端午の節句は、もともと「病気や厄を遠ざける日」とされていました。鯉のぼりもその一環で、空高く泳ぐ鯉に、子どもの健やかな成長や健康を託す意味を持っています。
鯉のぼりの由来と歴史
鯉のルーツは中国の登竜門伝説から
鯉のぼりの起源は、古代中国にさかのぼります。
「登竜門」とは、黄河上流にある激しい滝「龍門」を舞台にした伝説。多くの魚たちが挑んでも登れなかった滝を、鯉だけが登り切り、龍へと変身したと語られています。
この故事から、「試練を乗り越え、大きく飛躍する存在」=鯉とされ、尊ばれるようになったのです。
日本での発展:武家社会から庶民へ
この登竜門伝説は日本にも伝わり、江戸時代には端午の節句の行事と結びつきました。
- もともとは武士が家紋入りの「幟(のぼり)」を立て、男児の誕生を祝った
- のぼりのデザインに鯉の絵が描かれるようになった
- やがて庶民の間でも、立身出世を願って鯉のぼりを飾る風習が広まった
この流れの中で、「家紋の代わりに鯉を立てる=鯉のぼり」という現在の形が定着していきました。
吹き流し・矢車の意味も知っておこう
鯉のぼりの上に飾られている「吹き流し」や「矢車」にも、実は意味があります。
- 吹き流し:五色(青・赤・黄・白・黒)の布が使われ、魔除けや邪気払いを表現
- 矢車:風に回ることで、悪いものをはらい清める役割
ただ飾るだけでなく、それぞれに込められた意味を知ると、節句の楽しみがぐっと深まりますね。
現代の鯉のぼり事情
庭付き一戸建てだけじゃない!住環境に合わせた鯉のぼり
ひと昔前は、「庭に大きな鯉のぼりを立てる」スタイルが主流でしたが、都市部への人口集中や住宅事情の変化により、コンパクトな鯉のぼりが主流になっています。
- ベランダ用鯉のぼり:マンション・アパート暮らしでも楽しめるサイズ感
- 室内用鯉のぼり:リビングや子ども部屋に飾れる、卓上・吊るし型タイプ
- タペストリー型:壁掛けタイプで、省スペースかつおしゃれに演出
飾る場所を選ばない鯉のぼりが増えたことで、より多くのご家庭が節句の風習を取り入れやすくなりました。
おしゃれなデザイン鯉のぼりが人気
伝統的な赤・青・黒の鯉だけでなく、インテリアになじむナチュラルカラーや、北欧テイストの鯉のぼりも登場しています。
- グレーやベージュなど落ち着いた色合い
- 刺繍やちりめん素材を使った高級感のある仕上がり
- シンプル&モダンなデザインでインテリア性アップ
「せっかく飾るなら、おしゃれに楽しみたい!」という親世代のニーズに応えた鯉のぼりも増えてきました。
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多様な家族の形に合わせた「鯉のぼりの飾り方」
現代では、家族のかたちも多様化しています。
例えば、男女問わず「すこやかな成長を願う飾り」として、女の子がいるご家庭でも鯉のぼりを取り入れたり、兄弟姉妹で色違いの鯉を揃えるスタイルも人気です。
鯉のぼりは、「誰かの成長や幸せを願う気持ち」を大切にする象徴として、今の時代に合わせた形で受け継がれています。
鯉のぼりの種類と飾り方
現代のライフスタイルに合った鯉のぼりもたくさん登場していますが、基本となる飾り方の種類も改めて押さえておきたいですよね。
ここでは、代表的な鯉のぼりの種類と、飾り方のポイントを整理してご紹介します。
お庭用鯉のぼり
お庭にポールを立てて飾る、本格的なタイプの鯉のぼりです。青空に泳ぐ姿は圧巻で、節句らしい雰囲気をたっぷり楽しめます。
- ポールの高さ:5〜10m前後
- 鯉のサイズ:一番大きな真鯉が約1.5m〜5mほど
ベランダ用鯉のぼり
マンション・アパート・戸建て問わず、ベランダスペースを活かして飾れるコンパクトな鯉のぼりです。
- ポールの長さ:1〜2m程度
- 手すりにクランプで固定したり、スタンドで自立させるタイプも人気
省スペースでもしっかりお祝いの気持ちを込められるので、初めての鯉のぼりにもおすすめです。
【おすすめ商品】コンパクトでも華やか!ベランダ用鯉のぼり
集合住宅のベランダにも最適な取付金具付きの鯉のぼりセット。和の心を表現すべくちりめん素材を使用し、独特の風合いと重厚な色合いに仕上げています。
室内用鯉のぼり
リビングや子ども部屋、玄関などに気軽に飾れる室内用タイプ。和モダンなインテリアにもなじみやすく、シーズンデコレーションとしても人気です。
- 卓上スタンド型・吊り下げモビール型・壁掛けタペストリー型などバリエーション豊富
- サイズ感は30cm〜1m程度が中心
鯉のぼりのお手入れと保管のポイント
シーズン後のお手入れ
- 軽くホコリを払い、汚れは固く絞った布で拭き取る
- 濡れてしまった場合は、陰干ししてしっかり乾燥
収納方法
- 乾燥剤・防虫剤と一緒に収納袋や箱へ
- 折りジワを防ぐため、ふんわり畳むか、巻いて収納
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まとめ|鯉のぼりの意味を知って、家族で節句を楽しもう
鯉のぼりには、子どもの健やかな成長と、困難に負けず力強く生きることを願う意味が込められています。
そのルーツは古代中国の「登竜門伝説」にあり、日本では時代を超えて、家族みんなの願いとともに受け継がれてきました。
そして今、現代のライフスタイルに合わせたさまざまな鯉のぼりが登場し、「住まいに合った形で、無理なく、楽しく」節句を祝える時代になりました。


