5月5日の端午の節句には、男の子の成長を願って五月人形を飾るご家庭も多いですよね。なかでも「武田信玄 兜」は、戦国武将の中でも特に人気のある節句飾りのひとつです。
この記事では、節句人形アドバイザーの資格を持つ「人形屋ホンポ」代表・成嶋祐介が、武田信玄の人物像や兜の特徴、五月人形としての魅力、選び方のポイントまでをやさしく解説します。
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武田信玄の兜とは?勇猛と知略の象徴
武田信玄(1521〜1573)は、戦国時代に甲斐国(現在の山梨県)を治め、「甲斐の虎」と称された戦国最強クラスの武将です。彼は織田信長や徳川家康、上杉謙信といった強敵とも互角以上に渡り合い、特に“川中島の戦い”での上杉謙信との攻防は、日本の戦史に残る名勝負として知られています。
武田信玄が軍を率いる際に掲げていた旗印「風林火山」は、古代中国の兵法書『孫子』から取られた言葉であり、その軍略の鋭さと冷静な判断力を象徴しています。
そんな信玄が着用していたとされる兜は、重厚な漆黒の本体に金の装飾を施した落ち着いたデザインが特徴で、「白毛付き兜(しろげつきかぶと)」と呼ばれる独自の形式が注目されています。この白毛は、兜の両サイドにあたる吹返(ふきかえし)に添えられており、老獪な知将としての風格と、命を賭して戦場に立つ覚悟の象徴とされます。
五月人形としての魅力|武田信玄の兜が選ばれる理由
武田信玄の兜が五月人形として選ばれるのは、その美しさだけでなく、彼の生き様や理念に共感する親御さんが多いからです。
信玄の軍旗に掲げられていた「風林火山」は、以下のような意味を持っています。
- 風のように俊敏に動き(迅速な判断と行動力)
- 林のように静かに構え(周囲をよく見て冷静に)
- 火のように一気に攻め(勢いある実行力)
- 山のようにどっしりと守る(ぶれない心と安定感)
これらの言葉は、現代の子育てにも通じる価値観ですよね。機転を利かせ、時には我慢強く、必要な場面で勇気を持って行動できる――そんな強くやさしい子に育ってほしいと願うご家庭に、信玄の兜は特別な意味を持つ飾りになります。
また、武田信玄は家臣をとても大切にしたことでも知られています。「人は城、人は石垣、人は堀」と語り、人こそが国を支える力であると考えました。家族や仲間を大切にする心を子どもに伝えたいという方にとって、信玄の兜はその象徴にもなります。
武田信玄の兜のデザインの特徴
信玄の兜は、装飾が派手すぎず、落ち着いた雰囲気が魅力です。黒の本体に金の縁取りや鍬形(くわがた)を施すことで、気品と迫力を両立させています。
また、家紋や「風林火山」の文字をあしらったデザインも多く、歴史的背景を感じさせるアイテムとして高く評価されています。
初節句に選びたい!兜飾りのタイプと選び方
五月人形には、フルセットの鎧飾りもありますが、武田信玄のような兜飾りはコンパクトで飾りやすいため、特にマンション住まいのご家庭に人気です。
ケース入り or オープンタイプ
ケース入りはホコリを防ぎ、お手入れが簡単。安全性も高いため、小さなお子さまがいるご家庭におすすめです。オープンタイプは自由度が高く、小物との組み合わせも楽しめます。
飾るスペースに合わせてサイズを選ぼう
飾る場所を決めてからサイズを選ぶと失敗が少ないです。リビングや玄関などに気軽に飾れるコンパクトタイプも増えています。
飾る時期とお手入れのポイント
五月人形は、4月上旬〜中旬に飾り始めるのが一般的です。
5月5日の端午の節句の1〜2週間前には用意しておくと、写真撮影などにも余裕を持って対応できます。
飾る際は、直射日光や湿気の多い場所を避け、風通しの良い安全な場所を選びましょう。
お手入れ・片付け方法
- 柔らかい布でホコリをやさしく取り除く
- 飾り終えたら陰干しし、乾燥剤・防虫剤と一緒に収納
- 来年も美しく飾れるよう、元の箱に大切にしまう
家族で楽しむ節句の過ごし方
兜を飾ったら、記念写真を撮ったり、柏餅やちまきなどの行事食でお祝いしたりと、家族の思い出作りのチャンスです。飾りつけを子どもと一緒に行うのも良い思い出になりますよ。
まとめ|武田信玄の精神を受け継ぐ節句飾り
武田信玄の兜は、知恵と強さ、思いやりと覚悟を象徴する飾りとして、初節句を祝うご家庭にぴったりです。黒と金を基調としたシンプルながら重厚なデザインは、インテリアにも馴染みやすく、現代の暮らしにも取り入れやすい魅力があります。
武将ごとに兜のデザインや込められた意味も異なります。いろいろな武将の魅力も参考にしながらお気に入りの一品を選んでみてください。